豊原備忘録

意味わからん学生が書き物します

各務チヒロの誕生日だからチヒロSSを読もう

はじめに

4/26───それはミレニアムサイエンススクール三年生,ヴェリタス副部長「各務チヒロ」の誕生日だ.
26日0時を迎えるとTwitterのタイムラインにチヒロ推しの先生方のチヒロ作品の過剰供給を受けて嬉しいという気持ちだけでは表現しきれない.
かくいう私も創作者の端くれの端くれ(?)なのでホワイトボードにチヒロの絵を描いて,帰りしなにアイスブラックコーヒーを買って,チヒロに奢ってもらったと「妄想」をしエモい感情に浸りつつ,翌日昼締め切りの実験レポートに追われていた.チヒロと一緒に{\mathrm{Lua\LaTeX}}でレポートを書いていると考えると,*1学校でやってた4時間の進捗の無さに比べると,倍以上の生産性が現れた.睡眠時間は一時間ほど削ったが.

話がそれてしまった.0時台に大量出現した先生方のチヒロSSの感想を書いてく.

その前に,各々チヒロ推し先生の描かれた絵を見て,解像度でも高めていただきたい.

『各務チヒロは心,待つ』/伊角先生

www.pixiv.net
まとめ エモと情景描写の可変域のデカさに頭をやられた.神

「今日も明日も、先生の幸せな日常が守られますように」
抽象化を保ちつつ強いチヒロの感情が伝わる言葉から始まる.どう見ても恋愛につながる,非常に期待できそうな起.総評が頭悪すぎるが.
しかし互いにソワソワする,というか目の前のことに集中できていない表現.
...全体として情景描写が多いがそのすぐあとに先生やチヒロの直接的な感情が示されている.読みやすい.
そしてそれがロジカルで,聡明なチヒロが「先生を心配する・詮索する」という私的な感情に動かされているのが伝わる.先生のガバい情報セキュリティや身の回りのことをサポートして「仕事」として終わらせる以上の物が後ろにある.

どちらかというと彼女は、その両の手を開き、出来る事を模索し、最善を考え抜き、尽くす──そんな、真面目で、誠実な。

俺が好きなタイプ.自分を補完してくれる要素.しかしこう例を示し具体的に,理論的・実践的な彼女をわざわざ表すあたり,表向きそう繕っている──先生の前ではクールに生きようと奮闘する頑張りが見える.可愛い.

(中略)怒っているのだと、一瞬遅れて気が付いた。いつも、というよりはたまに。チヒロがヴェリタスの子たちに説教をしているのを見かけるけれど、それは怒りというより世話焼きで、こうして怒るのは見たことが無くて、(中略)

ヴェリタスの同期・後輩には友達らしく,そしてなんらか家族的な扱い・見方をしつつ部として取りまとめなければならない副団長の責任の重さ.しかしそれは友達に対する──と言ったもので,大人の先生に対してはそんな緩いものでいいわけがないのだろう.徐々に,そしてゆっくりでもあり速くもあり募る苛立ちと焦り,先生に対してそう尽力しようとするあたり,「私的な感情で先生を独占する」という気持ちが隠しきれていないのに気付く.これもまた可愛らしい.形式的なクール?を見せて先生の信頼を得ようとしているのかわからない.

ならば({\iff})で事をつなぎ伝えようというわけではなく,全部私的感情.一方先生も私的感情だが,「祈る」とか「信じる」などオカルトな信仰を続ける.冒頭のチヒロもそんなことをしていたが,先生はロジカルな人間ではないし,情報畑でもないのでやれるとしたら,祈る,ぐらいしかない.

チヒロの脚に、私の頭が乗っている。

疲れた俺にも膝枕してほしい泣
常に責任に追われ続ける学生チヒロ.互いに謝罪したがる,そして傷つけてしまったような罪悪感に苛まれどっちも伝えたい感情を伝えきれる状況ではない.壁のシミの自分は早くそういう展開になれと思っている.

社長との面談も,技術力も人格も大人にそう近い感じはあるが,精神的には子供らしいというか,大人の詰めに弱いところがそう感じさせる.
あと,先生からチヒロへの主体文の遷移が違和感なさすぎる.二度見して気づく.
全部嫌な事象を連れ並べ,謝罪だとか後悔だとかに...
先生とチヒロの感情ギャップがデカい.

気象と事象を合わせた描写が映像を具体的なモノとして補完してくれる.
絆ストの延長線,というか誕生日verとしてアレンジしている,と思う.全体通してそうだけど.
チヒロと先生が,なんというかこう,愚痴をぶつけ合うような関係がいい.技術者的なアレとしてあるかもしれないけど.
チヒロに押し倒され,感情的に詰められたい欲がある.

「カレンダーには思いっきり印がついてるし、冷蔵庫の手前の方にはこれ見よがしにケーキも置いてあるし、なんか口数も少ないし」

聡明な彼女だからこそこういう小さいところにはよく気づき,覚える.無意識に先生を意識するアレ?

「休んでる間に、終電行っちゃったみたい」

やれえええええ!!

理屈的な彼女がオカルティック,迷信的な「祈り」に期待をかける要素で,思い出した.
かの大数学者,Leonhard Euler無神論者の哲学者Denis Diderotに対して,以下の式を示して数学的に神の存在を証明した,と皮肉的に有神論無神論の議論に釘を刺そうとした出典が怪レい有名な話がある.

{\displaystyle \frac{a + b^n}{n}= x}
関係ないので忘れてほしい.

語彙の量と巧みな使い方,抽象化でぼかしつつ,伝えたいところは抑えているチヒロと先生の感情描写が良かった.

『隣に引っ越してきた卒業後チヒロの話』/シケイダ先生

www.pixiv.net
まとめ チーちゃん呼びと対話メイン.ギャグがかかる日常.これも神

就職チヒロと半同棲みたいな,良い概念.「お前ら早く結婚してくれ」と思う壁のシミの自分がいた.
生徒ではない,と残念がるチヒロ.先生と生徒の関係性のほうが良かったのだろうか,あの透き通った青春のころと,労働して一人暮らしする陰鬱(?)な日々を比べているのか,先生の行動により敏感になっている.
都市中心圏内,そしてセキュリティ関係なら相当のブルジョワだろう.チヒロなら実力でいろいろかっさらっている.
不摂生な先生の食事を改善させるチヒママ概念,良い.正月の登山の水炊きを,互いにまだ覚えているのエモすぎ.

「そういうとこ変わらないね。本当に」
「チーちゃんこそ」

大人になっても──というような絡み方,青春の延長線すぎる.友達以上,恋人未満ってやつ?あとチーちゃん呼び,神.ありがとう.

先生が隣にいることがわかってから,こう,より寂しさというのが増幅されないかと思っている.先生分の食料も増えてより同棲感が増しているが,作った余分のものを見ると,「今日は先生は来ない」と思って,内心先生を独占したいと企てるチヒロ的には苦しい,なんてことを考えた.

けれど、頭の片隅にはどこか期待する自分もいる。

ほらほらほら

最新の家電、良質なコーヒー豆、読みかけの本。深夜のサーバールームよりもよほど快適なはずだ。

快適とエモの連節.プッチ神父でもなんでもないが,音韻とかリズム感が心地よい.鯖部屋以外は全部気持ちがわかる.典型的な,穏やかなエモい屋内のカフェ情景が思い浮かぶ.それに対比する,冷たくうるさく,重厚なサーバ部屋.

倒れる先生を介護するチヒロのシチュエーションは,ちょっとした曇らせをしたがるのも何かわかるのでなんとなく自分も妄想したりする.
聡明な彼女(2回目)なだけあり,小さいところに余計に目が行って,余計苦しくなる.良い.「大人になった」チヒロであっても,本意にする相手の実情には目を向けたくないというアレ.
真剣な時はかなりキツイ言葉になるチヒロ.それほど感情のほうが優先されていることが伝わる.
鍵という物理的セキュリティを渡すという重大責任を与えることを間接的な告白として表現してる.チヒロなら情緒が破壊されるし,俺も破壊された.泣いた.

お説教タイム.といってもさっきの情緒破壊があるのだから多分まんざらでもない,ことになってそうなのがチヒロ.ギャグシーンと絶対に顔が赤いチヒロの組み合わせは合いすぎるし,なにより求めてたもの.
後半パート,チヒロが言いそうな言葉,文章のリズム感・口調なのもあって,解像度の高さを感じた.チヒロ側の告白方法もめちゃくちゃかっこいい,クール.でも顔は赤い.
先生とギャグ感,軽口叩くような関係で,甘く生活しているチヒロの姿がなにより美しい.

『チヒロの二十のお祝いに』/はろえりす先生

www.pixiv.net
まとめ 無限に甘々なチヒロと先生の関係.普通に泣ける.

またまた成人チヒロ概念.最近流行っているというか,チヒロという生徒があまりに年相応ではない雰囲気を出すので,もはや同棲とかしてくれたほうが向いているんじゃないかという考察もある.かつ自分と同い年で同じ工学系の人間として対等な目線で見れる気がしない.
シャーレの情報技術職員として職についたチヒロ概念.ちょっとテイストが違う.先生を私的な感情どころか,オフィシャルな場でも独占したがる強気に出る.良い.

シャーレに身を置く事で、愛着あるミレニアムとも間接的に接点を持ち続ける事が出来るから。
 ただ単純に待遇が良くて、今借りているアパートが程近い場所にあるから。
 ――そしてなにより、先生の傍で、先生を支えながら生きていけるから。

多分9割くらい最後のやつが理由じゃない?と勝手に思ってる.壁のシミの俺はそれでもいいよとささやいている.
眼鏡をはずしてコンタクトにしたチヒロ.眼鏡しててもかわいいし,5thPVででた前髪を上げ,後ろをくくり,眼鏡をはずす男装向いてそうなクッソイケメンのあの顔が思い浮かぶ.

爆イケ女,チヒロ

すでに先生と甘い関係そうな状態なチヒロ.あり.というかこの後全部甘々なんだけど.原作のほうではいい感じに先生と生徒という関係がありつつ対等でもある,ような感じだった.
一方はろえりす先生が書くチヒロは,チヒロが成長してきた,という背景も持たせつつ,先生とより親密にしてきている.結婚して同棲してくれ.
コーヒーを何度も淹れてきて,味・風味を意識し淹れる相手の好みまで覚えるの,エモ.先生の独占,というのもコーヒーの味で間接的に表現.

「まずは、その・・・・・・誕生日おめでとう、チヒロ。チヒロがこうして二十歳に、大人の仲間入りをしてくれた事、私はとても嬉しく思う」

「・・・・・・全然言ってくれないから、てっきり忘れてるものだと思った」

(中略)

「ど、どうしたの、そんなに改まって。・・・・・・流石にちょっと、照れくさいんだけど」

ここのシーン,先生ずるいよなぁと思ったりした.チヒロへの思いを,直接言うのではなく「理解してるよ」という感じで今まで見て感じてきた特徴を述べるのが非常にずるい.チヒロに対しての落とし方わかってる気がする.
あと照れるチヒロの描写もめちゃくちゃかわいい.


ハイ同棲確定.ありがとう,ありがとう.
受け取る前に,いったん形式的に?セキュリティエンジニアとしてのプライドを出すためにも,ちょっと叱る,学生時代から変わらない先生との関わりの再来.

 ――――背伸びして、先生の首に腕を回す。影と影が重なり合う。
 たっぷり数秒の後、そっと先生から離れた私は詰まった息を吐き出した。

尊い.こういう時だけ自分のセキュリティは弱くていい都合のよさ,そういうの好き.最初から最後まで甘々で貫いてる.涙出そう.そしてずっと恥ずかしがってる.

同棲してくれって無限に思うくらい,欲しかった先チヒの関係.好きすぎ.

『甘いコーヒー、甘い時間』/みそしる先生

www.pixiv.net

まとめ チヒコタとかチーヒマとか,そういうCPが楽しめる.原作のチヒロ誕生日祝いをミレニアム生がやったら...という妄想で良い.

コタハレマキのヴェリガキ...じゃなくておバカグループ(?)から始まるサプライズ,普通にあり得る.普通に悪いことやっていつもチヒロに怒られていることはあるが,いつも出先にいるチヒロとの接点がそんなことしかないと考えると,なんかこう,寂しさというか,むなしさみたいなのを感じる.だからこそチヒロへの感謝と畏敬の気持ちが大きいのかと思っている.

先マキの愉快で緩い会話,楽しい.
チヒコタ,副部長呼びだから距離感あるけど,コタマ自体が敬語使う人だから解像度高い.(原作通りかもしれないけど) うちのKではコタマみたな人はいるけどチヒロみたいな人はいないから,めったに見ない光景だと思う.同期だから,入学時とかどう絡んでたんだろうとか妄想できる.

原作のセリフが神な自分の誕生日を忘れているチヒロ.俺はそういうの良いと思うよ,祝いのネタになるから.互いにWin-Win
コタハレマキのあげるプレゼント,実用的だしチヒロのことを本当に慕っている気持ちを強く感じるモノ.解像度高い.こんな関係一生続けばいいのに.

「お誕生日おめでとうございます、チーちゃ……」
「ストップ。なんでヒマリがここにいるの?あと、その呼び方はこの子達の前では禁止。」

俺が求めてるチーヒマCP,神.顔が赤そう.

「先生に呼ばれてね。愛すべき旧友が誕生日とあらば、祝わない理由はないと思ったのさ。はい、これはプレゼントさ。」

ウタチヒCP.イケ女子生徒の絡み,超クールでかっこいい.チヒロのことをわかっているから,美容にも気使ってほしいという考えに至るのが,面倒な絡みだけをするわけじゃない,本物の友達,へのリアリティ.

いつものおばあちゃんの話みたいに長いヒマリの話を絶対聞いていなさそうな返事.それでも「ふふっ」と笑っていそう.

アリスとチヒロの関係,姉妹のようではないけど,愛おしさのようなものを感じる.語彙が足りないから表現できない.

その後も、誕生日会は続いた。色々なゲームをしたり、ケーキを食べたり、写真を撮ったりした。しかし、楽しい時間には、得てして終わりが来るものだ。

透き通った青春~~~~~

“じゃあまだ誕生日って言うことで……私からの誕生日プレゼントは、この時間だよ。”
「!?……先生、どういうこと?」

駄弁ってたなか突然このセリフを言い出す先生,ずるい(二回目).無駄にかっこいいし.そしてもらった時間だからには余すことなく十分に使う,チヒロらしい先生に対するブレイク時間の使い方.

“いや、まだ25時だよ。まだチヒロの誕生日だ。だから、本当の誕生日プレゼントをあげるよ。”

意味不明すぎてワロタ.でも豆は最後まで気遣うようなもの.チヒロはそれを日常の中の特別な時──疲れて先生のことを思い出したい時に飲みそう,みたいな思考.

少し眠いが、今日も彼女はコーヒーを飲んで頑張る。普段よりも少しだけ、甘酸っぱいコーヒーを。

エモの締めくくり.くぅ~~~
前半ワイワイ,後半エモの情緒破壊のコンボ.あざす.

まとめ

今回読ませていただいた作品を書かれた先生方,チヒロの素晴らしいSSをありがとうございました.

*1:TeX記法したかっただけ