豊原備忘録

意味わからん学生が書き物します

ブルアカ二次創作感想『雨と同棲と女子大生アコ』

はじめに

あおきみどろ先生(https://twitter.com/NEOmidori02)の『雨と同棲と女子大生アコ』の感想を書きなぐっていく.(すごい今更だが)はてなハイパーリンクの仕様等々なのかURLがまんま張り出しで長くてつらい.
C103に参加したときにやっとの思いで購入したのでかなりの期待を勝手に寄せている.

体裁

表紙はこんな感じである.めちゃくちゃエロっぽいが全年齢向けらしい.正直買うのに躊躇した気持ちもあった,どうあがいてもノーパン彼シャツみたいな見た目の肌色成分が多そうなアコがドンっと前面に出されているのだから.ブックカバーもなしに学校に持って行って読むのは気が引ける.
イラスト担当はよく透き通った絵を描いていはる連邦帰宅部員先生 (https://twitter.com/ba_fed_kitaku).員が青地で背景と相まって見えにくかった.

装丁は講談社文庫を意識してそうなカラーとフォント,あらすじ部分.ISBNコードとバーコードが印字されている...しかしよく見るとISBNが14桁だ.商用本ではないしおそらく見た目だけのものだろう.ちゃんと13桁を回避しているのは素晴らしい.
表紙はコーティングが効いた上質紙,本文部分は若干のザラザラ感.余白も障害にならない程度に問題なし.

プロローグ フォーリン・アコ

大学進学の選択肢が存在するキヴォトス世界線の描写.自分は大学受験をしていないからわからないが,当時の高専受験のことを思い出すと,合格発表の不安と胃がキリキリするような感覚を適切に共感できるように書かれている.正直トラウマを思い出しそうなくらいで.
ヒナはこの時どういう気持ちだったのかがあえて不明確な感じ,アコがむしろ頭がぐちゃぐちゃになっている感を間接的に表現していると思う.

一章 六畳半アコ神話惰性

四畳半神話大系を意識してそうな章題,笑える.滑り止めだしヒナと一緒じゃないから完全無気力モードに走る未来しかない.初手どん底
機械的生活を端的に,かつ丁寧に詳しく並べ示しててめちゃくちゃ苦しい.自分の生活よりはマシだが気持ちがわかりすぎて無,虚無.もはや一般大学生を刺しに行ってそうな勢いで静かな言葉の暴力を感じる.誰に向けても言ってないのに.

依存。依存,依存......イオン?電荷を帯びた電子?それとも,あの安めのスーパー?

ここで腹がよじれそうなくらいに笑った.ヒナにボコボコに言われたアコの茫然さをギャグで出しに来てる.普通におもろい.Twitterおもろ文学かよ.普通にアコはTwitterで単色アイコンで何かをつぶやいてるべきだと思う.勝手にフォロワーが増えていって四桁行ってほしい.それに対して変なツイートして共感と炎上の嵐に晒されている.むしろそれでストレス解消してそう.
電子自体電荷を帯びてるもんだから,電荷を帯びた原子,の誤字だと信じたいがいったん置いておこう.
キヴォトスにもイオンスーパーの概念があるのか.看板にジャスコの怨念が見えそうだ.
次の次のページくらいにもアコらしい処罰方法を考えるときに「起訴とか折檻とか。」と言うシーンがあってまた笑った.というかむしろ第一章の時点でTwitter語・文法の炸裂がキマってる.「~らしい」とか「~とか」で文章が終わるのはよくTLに流れるオタクの愚痴で見られる.アコと,これを書いたノアちゅきエレファントあおきみどろ先生はTwitterでおもろい文章を書くのに徹してほしい.

(絆スト読んでないからテキトーなことが言えないが)アコはきっと「真面目」なんだ,と思わされる.変な賭けを自分から出しておいて真面目になるし,先生にもめちゃくちゃ感情叩き述べてておいて先生が好きなのを否定するツンだし.
前者の要素でちょっと自分と一緒だ.自分は変な賭けを提示しないけど.
LINEを送るとき,しばらく会話しなかった相手に対して何を送るかとかすごい悩む.そしてまた会話が途絶える.現代オタクの痛いところをまた突いてくる.

アコは割と感情的な生徒だからか直接的な言葉で必要最低限に表現されているのがわかった.情景描写が割と少ないので読みやすい.

二章 見栄という名の制服

アコ,クソどうでもいいことをわざわざ考えるあたり自分と一緒.カレーうどん食べにくそうとか全く同じ思考してる.
「今の行政官」.ああ,リンちゃん卒業したんだ.今の,と付くだけで喪失感が突然現れる.こういう小さいレトリックがすごい.
はあ~?とまったく...しか言わなさそうな,アコと先生の会話劇.アコ,めんどくさくておもしれー女.てか,先生の服着てるけど穴開けなくて呼吸できる?
アコの楽しいのに何か寂しいという気持ち,自分すぎ.これ以上アコと重ねると何か感情がおかしくなって頭が痛くなりそう.通い妻...どこかの財務室長もそんな感じ.なんだろう,青とか銀髪の生徒は何かと妻かお母さんっぽくて世話焼きなのだろうか.という偏見.サンプリング数N=2しかない.
出た,「あの」制服.というかなんでまだ持ってるんだよ,ヒナの匂いでも染み付いているからだろうか.もしかしてこれが見栄なのだろか.あれで見栄を張ってる自信があるなら考え直すべきだと思う.第一だれがノーブラで横乳を出したがるのか.変すぎる,三重県の間違いやろう.*1意味不明な,とかまたTwitter語が出てくるし,ちょいちょい原作引用でのギャグを挟む.やっぱみどろ先生ははてなで類まれ無い文才でクソおもろブログを書いててほしい.
もうさ,お前ら結婚しろって.アコもまんざらちゃうやろ,機嫌よさそうやし.突然話しかけてくる動機が増えるのが気がかりというか...謎すぎるが...

多分アコは反動少ない拳銃撃ってても乳が揺れる,これは絶対真なんだ!!間違いない!

三章 とにかくお泊りなんです

先生のほうも結構えぐい発言してることに気づかないの,やばいと思う.(どっちも成人してるからいいけど)そういうフリに無関心なところがあるから生徒に狙われるねん,カズサとか.
ササミフライ,美味しいよな.自分も学食で出たら大体食べる.みどろ先生が私の思考をジャックしてるのか,オタク学生の生活に非常に理解があるのかわからないが共感できすぎる.むしろ怖い.
アコの「真面目性格」シーン二回目.もとから変なこと考えめぐらしやすく,素直になれない性格と酒癖の悪さかでめんどくさいメンヘラツンデレ(ツン99%)彼女感.先生,すみません,それはセクハラです.

アコが素直になれないから,無限に言い訳して泊りという名の同棲を続けていく.こういうところ,みどろ先生は解釈を丁寧に深めてて素晴らしいと思う.しかも無駄を省いて的確にアコがどういう人間であるかを書いている.俺もそれできるようになりたい.(到達しない切実な願望)

四章 今にも落ちてきそうな天の下で

自分に正直になれず,行動もヒナに付き添うばかりだったから慣れない自立生活がどこかで切れてしまって変な行動をし,後悔に長時間苦しむアコ.俺すぎてもはや泣く.
クソイライラして泣きそうなとき物理的発散で誤魔化す描写までめちゃくちゃオタクへの理解ある.無限に雨が降る.天雨姓だから関係があるのかそうでないのか.数少ない情景描写は主に雨で構成されている.雨というのは鬱陶しいし気分が悪い時に限ってめちゃくちゃ降る.微小なレトリックの差からアコの感情を分けてあえて「先生」のことを考えるときだけは直接的ではなく雨を使って毎回叙述されてる気がする.アホの自分でもわかるように書かれてる.
風紀委員と先生とカヨコ以外には冷徹な女,それが天雨アコ.でも真面目だからとにかく押しに押してくる話には負けるし,ヒナを出されるとすぐホイホイついてくる.というよりも身近に空崎ヒナという異常中の異常がいるわけで,ゲヘナ在学中は比較の苦しみをなんとか,ヒナへの献身という形で自分を正当化してきて.しかし今はいない.自分を自分で切り開くなる必要が出て,尊敬以上の畏敬の念を抱くヒナにも何も言い返せなくなってしまったくらいに将来について必要以上に考えることになった.しかしそんな導もなく放り出されてできるのは機械的に無を生きるだけ.すると,勝つとか負けるとかはどうでもよくなり,とにかく立志を達成する.そのためには真面目を捨てて不真面目(無駄に考えすぎないとか,ある趣味・行動に異常に熱中する意味で)になるフェーズに入らなければならない.アコは今そのフェーズに来ている.俺はまだそこに到達しようとしてるが,うまいこと行かない.ここで同じ路線を走ってたはずのアコがどんどん距離を離していって自分と比較してしまった.泣いた.*2 

思考がコンパクトに整頓され...

やっぱ俺と某さんの会話と関係を傍聴してるだろってレベルで展開一緒すぎる.怖いわ.*3

突然現れる嵐.ブルアカらしい終盤にやってくる重めの転の展開,みどろ先生は公式解釈の理解プロ(3回くらいこれ言ってる.) めんどくさいけど世話焼きな女,出動.
アコの言う否定語は大体反対で,好意系の意味なんだ,そうに決まってる.というみんなの共通認識そうなツンデレ解釈もすでに書いている.天才.
さすがに嵐の中でも街中で叫ぶやつはやばいと思う.
王道展開.良いと思う,アコらしいところも付け加えられてるしちょいちょいギャグが挟まるから楽しい気持ちで読めてしまう.最初から最後まで世話焼きでツンデレでめんどくさい,おもしれー女,アコ.
アコがこういう展開で「責任取ってください」っていうとそういう感じに聞こえてしまう.すぐにその案が出る先生も相当やばいと思う(二回目).
表紙通りのちょっとえっちい展開.あざす
賭けとかいうフラグ建てるなよ(微笑)

真面目パート三回目.準備に熱を入れすぎて本番ですかしてしまう,真面目人間あるある.
修羅場と言っているけど,ただの真面目勘違いアコさんのギャグシーン.

やっぱし,という最後の展開だったけど普通に求めてたハピエン.アコは最初から最後までギャグ女でいてほしいな,という思いが叶えられた.

総評

全体的に情景描写は大きい展開の部分のみで,残りは詳しく丁寧に,一節ずつ端的にアコの感情が直接描かれていた.
途中まで時間経過がちょっとゆっくりだったり突然飛んでいたりだったか読むのに支障がないくらいの展開速度だった.最後の駆け引きの部分では一秒が一分二分に感じられるほどゆっくりに書かれていて思考とセリフによる時間の感覚の変化を,日常的な点から伝わりやすく書かれていた.
しょっぱなからTwitterオタク文学節らしい文章が炸裂するため,本全体として重い展開を感じさせない文章だった.みどろ先生には無限にTwitter節で独り言をつぶやいていてほしいし,ブログも書いてほしい.読みますから.
かつ,オタク学生の怠惰な生活があまりにも的確すぎるので普通に自分を刺しに来てるかと思った.多分アコに対する解像度よりこっちのほうが高いから怖い.(アコや先生の解釈も全く違和感なく表現されてます)
先生の無意識変態性もちょくちょく挟んで,アコとの変な会話劇を繰り広げているのも,原作を踏襲していると感じた.

最後に,大変面白いラブコメを書いたあおきみどろ先生に感謝したい.日常系ブルアカ二次創作に飢えるオタクを救う神だと思っているので,今後も活動頑張ってください.

*1:何を言ってんの???

*2:不真面目になる行動は某から何度も聞かされた

*3:身内話