豊原備忘録

意味わからん学生が書き物します

ブルアカ二次創作感想『一月六日。』

はじめに

haru先生(https://twitter.com/iroha_ru0215)の作品『一月六日。』の感想兼思考を読みながら書き殴っていく.
技術書と推理小説しか読んでなかったが,純文学(?)あたりの部分にも触れたいし,ブルアカ二次創作なのでとっつきやすいと思った.
二週間ほど前のC103にて出してはったらしいが,マークしていなかったので物理本を買いそびれた.コミケが終わった後に気づいて,やってしまった.
ねっから本は物理でおいておきたいタイプだから,電子版で発売されていても買うか悩んだ.一方,本を持ち運ぶときに,買う機会が少ない同人誌が損傷するのも嫌なので通学中にも楽に読めるだろうと思って買う決断に至った.
あと,表紙が良かったし,ミヤコのエモそうな話だと思ったから,という理由でもある.お金も余っていた.
どっかのファスト映画みたいに内容垂れ流しにならないように書いていきたい.

Booth(電子版)
glass-grass.booth.pm

体裁と説明文

体裁は十分に余白がある.現代のラノベとそこまで変わらない.
タイトル文字フォントはなにかミヤコさを感じた.なぜだろう.罫線から始まるから趣的なのを感じる.

先生が消息を絶って四年。
19歳になった月雪ミヤコは、先生の残滓を追いかけて冬の街を歩く。
「先生……貴方は今、笑っていますか?」

19歳で四年後...ということはある程度メインストーリーの世界でやること終った瞬間に先生は消えたのだろうか.四年は長いだろう,その間の心待ちはどうしていたのか.
1月6日はミヤコの誕生日だ.20歳になる.

本全体の感想

一言で言えば,一節一節場面描写の説明が丁寧だった.癖がない.
言葉も文も複雑でなく,簡潔に一文で述べる.一発のデカいエモではなく,少しずつ与えていく「微エモ」.いや,エモという言葉で片付けてはいけないのだが,とにかくそれが多かった.エモの押し売り.そして王道展開ながら,ブルアカ原作のメインストーリー展開と同じでありながら新しく見えた.
癖のなさも,しっかりと原作ミヤコの解釈を深めているんだろうなと思い,ミヤコオタクの気概も感じた.あと,難しい「キヴォトスにいる学生(生徒)*1の将来像」の表現も,原作からいい感じに延長してたと思う.


以降は,Chapterごとの感想と思ったことを書いています.引用やら物語の内容に直に触れる感想しかないので,ネタバレになります.
怒られたら消します.(内容に触れすぎていたら)







01/道標と、その先

まず,場面描写の遷移が自然で,フィクションながらにも現実と同じ物事の流れが滑らか.俺は月雪ミヤコなんだ,と思わされる.(そうでもないかもしれない)
朝起き,朝支度をすまして,外へ出,そして偶然にもカンナと出会い,そして別れる.
ごく普通の日常の描写だが,そう癖も感じさせないながら,ミヤコの中での葛藤や回想を含ませ描いている.

20歳になるミヤコは今,先生とSRTの仲間と過ごした濃密な青春をどう振り返っているんだろう,あの夏の時は何を思っていたんだろうと.
20歳になるというのは特別な時で,多分特に濃密だった高校───SRT特殊学園RABBIT小隊としての時代がより強く思い出されるのだが(自分はまだ20ではないのでそうだと思いたい),やはり,たった一年,されど一年という時間を共に過ごした先生が「いなくなる」という事象は重い.いなくなった当時は強烈な「なぜ」に苛まれるし,いくら4年経ったとはいえ,キヴォトスを変えた人物の記憶はそう容易く消えない.
しかし,時間の流れというものと人間という不完全な存在は適応できず,記憶の劣化が進む.単なる劣化どころならまだしも,「美化」される劣化.
記憶を「記憶」として覚えておきたいものが,時間と葛藤の流れに流され削られる.それに抗いたいどうしようもないミヤコの気持ち.

卒業するまではSRTの役目を果たしていたし,他のメンバーも各々自分のやりたいところへ進んでいった.こう「ぶち抜く」には一旦先生のことを頭の片隅に置いておいて,今目の前にあることに専念しないといけない.ただ,ミヤコだけは,夏の時周りが遊んでいる中一人だけで居たところを先生が手を差し伸べて「外」へ連れて行ってくれ,自分のような一学生にも気にかけてくれる大人の「先生」の存在は大きかったと思う.中でも大人の象徴ともいえる「珈琲」を通して卒業後今でも先生とつながろうとしている.*2
珈琲を飲むミヤコの味の感想が,すなわち「先生のような大人に近づけているかどうか」とイコールになっている気がする.飲むたびに当時の記憶,先生との会話を思い出していると思う.
朝毎日珈琲を挽いても,良質なものを飲んでいても,思い出深い「缶コーヒー」には勝らないというのが面白かった.やはり,「先生のような大人」になりたいのだろうか.

カンナはもう二十歳を過ぎている.自分自身でも「大人」と言っている.しかし先生のような大人に近いだろうか.そうだとは思えないかもしれない.しかし公安局長時代の苦労と警官としての己の自立──並みの高校生とは比較にならない精神性の持ち主であるのだから,20前半でも十分「大人」と言える.

それじゃあな。......悔いの無い一日を

いかにもカンナらしい一言.でも微量大人らしさというのがある.これが警視長としての重い責任を負う立場の人間の貫禄なのだろうか.
ちなみに,現代日本においてはいわゆる公安警察は警視庁や各都道府県警察の部門である.警視長*3は警視庁のNo.3の地位であるらしく,ヴァルキューレ警察学校を一つの警察機関と見て取れば,公安部の長からキヴォトス治安維持機関のNo.3に出世している。
いや,出世が早すぎる.どれだけ優秀だったんだ.(汚職しているけど,それはカヤの責任として免除されたのか)
てかなに街中巡回しているんだよ.

この程度で咎められるなら,合歓垣あたりはとっくに懲戒免職になっている.

ワロタ.

サキはSRT教官になるため勉強,モエは情報系大学へ進学,そして突然のミヤミユCP概念.
なあ,サキ.防衛大に入らないか.幹部候補生になれるぞ.
なあ,モエ.Security Campに行かないか.

ミヤミユ概念


やはり,カンナは大人だから先生の失踪など今となっては割り切っているのかと思っていたがそうでもなかった.やはり当時の一学生としての記憶が青いのだろうか.
一方,サオリは「先生」として最前線()で活躍していた.サオリ,お前はいい先生になれているぞ....しかし,「先生」と過ごしたことのあるサオリにとっては重い肩書かもしれない.連邦生徒会長に次ぐかもしれない才能・能力の持ち主である先生,そういう大人に自分がなれるのだろうかという葛藤があると思う.

02/スタンド・バイ・ミー

ここも遷移に詰まりがない.読みやすい.*4
灰色の雲の描写がまた来た.多分ここはミヤコの心情に基づく情景描写.*5いつ晴れるのだろうか.(いつ気が済むのか)特別な日,カンナとの再会もあってか回想がまた挟まる.ここも今のミヤコを形作る「記憶」なんだな.

ここの先生の描写も子供っぽくて,陽気だ.原作に近い.ミヤコを子供扱いしているかもしれないが,普通そうだろう.ミヤコは先生に対して正直でいるのが恥ずかしいのだろうか.(確かに大人に対して,好意ある発言は難しい)
映画の見方,4thPVのあのシーンと似ているかも.FOX小隊を見て,SRTの正義に憧れ,夢と希望に満ち溢れていたミヤコ.
なんで先生はミヤコにこの映画を見せたかったんだろう,自分もそう疑問する.いくらミヤコのSRTでの活動を見ていたとはいえ,「友情」への何らかの思考をもって見せる訳があったのか.Caerbannog編1章でも「友情」について説いていた(はず).ミヤコにとってはあくまでサキらを小隊員としては見ていたものの「友達」として見れていなかったからなのだろうか.(サキとかミユ,モエは友達として見ていた感じはする)*6
先生も学生時代を通して,結局キヴォトスに来て友人との関わりを減らしているのだから,切り捨てる(?)重さは理解している.ただ,ミヤコにいくら希望だとは言えその決断は重いではないか.でも気づけば絡みが減って記憶だけが残るというのも実際ある.

なんだい,それ

たぶんこの時の先生の顔は笑っている.かつ,ミヤコの言いたかったことも見透かしていると思っている.

何も考えずに歩を進める,私にはよくわからない.いや,歩を進めることはあれどかなりの距離を移動することはない.時間がないから(どうでもよかった)
ここ,情景のエモが連なる.
無尽蔵の体力があったころは,実質的な自立兵器だった,ともいえる.しかしながら,SRTを卒業すればただの学生になる.正義とかもない.ミヤコはただ,普通の高校生らしかった.軍事訓練をやって,正義を貫く治安維持部隊ではあるが,個人としてはただの高校生であったように思える.最近の将来が不安だとか,何者かになりたいという中高生の夢の持ち方に似ているかも.

衝撃的なシーンだ.この衝撃は前に出会ったものと似ている....確か,『変な家』を読んだ時の,どんでん返しか新情報が出たときの衝撃だった...しかし,推理ホラー小説の衝撃とは違う.こっちは予想がまだできるのだ.しかし,予想ができる展開であったとしても,エモさと高揚感がそれを上回る.最初からミヤコを曇らせにかかっている.それの救いだ.曇らせオタクには,救いが無い派と有る派にわかれる.ソースはない.
まだ,卒業後もRABBIT小隊員と絡みがあるの,やはり忘れられない青春を送った仲だからなのだろうか.

03/19歳

遷移が突然な感じだが,詰まりはない.
懐かしい思い出の場所に戻る,王道のエモ.ミユ,本当にかわいそう.鬱みたいなもんだろ.多分,今もトラウマだと思う.ミヤミユは現実をそう受け入れる精神がないのか,先生にあらゆることを委ねていたりしていたからだろうか.
みんなは私情ばかりで動くつもりはない,しっかりとした軍人思考が残っている.ミヤコはなぜそこから抜けてしまったのだろう.先生がいなくなったから?だとしても,2年間はしっかりSRTの活動を続けていた.何がミヤコを変えた?

耳が痛い.決断サッサとして動けよ,というのはわかっていても言われるとしんどい.
一般的に使われるアナログは=アナクロだという思考を持っておこう.航空機の一次レーダーは...アナログだと思うが表示機構は結局デジタルだ.どこまでをそう線引きできるか.*7
表層的な感情だけでは,何も動かせないよね.というこれも非常に耳が痛い話.やりたいというならそれなりの正当性を持ってこい,なぜやりたいのかを突き詰めろ,と言っている.サキ,お前は教官には向いているけど言い過ぎだぞ,ミヤコにとっては.泣いてしまうぞ.
要するに,漠然と思うだけではダメなんだと.先生と一緒に映画を見たときの「希望」も結局として漠然としたもので,ちゃんと将来全体を計画できているものではなかった.ミユもド正論で突き刺す,味方がいないじゃないか.
エンカしたいという結果だけを目的にエンカしたものの,何をするかと何を話すかとか決まってなくて,ただ空虚で気まずい時間が過ぎるアレに似ている.思い出して辛くなった.

うわーでた!これも王道のエモ展開.友情じゃないか,美しい.ミヤコは詰められると弱い,だがそれは,仲間がちゃんとミヤコのことをわかっている上で言っている.ちゃんと本人の正直な言葉を引き出して,ちゃんと仲間として「夢」を実現させたい.王道.絶対Re Aoharuが流れている.
なぜモエもコーヒーを選んだんだろう.先生との思い出がやっぱ鮮明だからか.
特別な日だから,で選ぶ特別な珈琲ではなく,いつもの飲み慣れた味.熱くなってきた展開で良いエモ.仲間との結束を示している.

怒涛の王道エモ.エモで片付けたくないけど,言語化が難しい.

ミヤコは何で変わったのか,未だわからない.揺らぎが起きやすくなっているのもまだわからない.先生と出会ってからなのは確実のようだ.
先生,お前もう寝ろ.
ミヤコは恥ずかしがり屋ではないと思うが,「一緒」という言葉はそれなりに高尚で,大切な時に言うようなものだから,今の自分には......とでも思っているのだろうか.いや,正直に言え.先生もわかってくれる.
特別で特別じゃないクリスマス,エモ.
ミヤコにとって先生といる時間は無限にあると感じていたんだろうな.でもそれが一年しかなかった,というのは強烈な絶望なはずだ.
ストライド......ストライド走法のことらしい.広い歩幅を取り,陸上競技で見られる.SRTで習った早く走る方法なのだろうか.
!?おい,凍傷になるぞ,やめておくんだ.
青春,先生やミヤコにとって青春とは20代になるまでの,学生時代に味わった経験のことなのか,そのもどかしい気持ち(恋)のことなのか.結局,自分でも未熟と認めていたのか.*8


エ?救いじゃなかったのか?なんか展開変わったな,『変な家』のあの感情になってきた.
結局想定の救いが無かった.エデン条約編の被弾に近かった.かすかな救いだけは見えた.受け入れ難くも受け入れる,今までのミヤコとは少し変わっている気がする.でも先生はどないしようもなくアホだ.学生間の問題を解決するために身を投げ出す.自分の被害も顧みずに.でもそれがシャーレから消えた理由にはならない.
多分本音を自分で言っているつもりでも,うまく吐き出せている気がしない.目の前の現実がまだ受け入れ難かったのだろうか.いや,正直なことは言っていると思うけど,やっぱり先生を傷つけたいと思わないからだろう.
先生は,一般労働者の究極の鑑*9.でもミヤコらの思う「休息」ではなく労働者の休息らしい一人で過ごす時間を無駄に使いまくる.
これは正しい.寝まくったと,やり切ったと思うならもう自分で維持する必要もない,最高の生きがいだった.学生らを切り捨てるとまで言わないまでも,先生にとっての青春とは先生と学生の関係ではなく,学生と学生同士の青い経験を作ることで生まれるのだから,別に自分は必要ないとでも感じたのだろう.ミヤコとの価値観のズレ.
全力の愛情と献身.理解されない頭のおかしさ.でも学生に直に影響を与えるすばらしさ,矛盾?


うわあああ,脳が破壊された.強烈なエモだった.多分,言われるまで絶対に成立しない両想いを目視し続けるのもミヤコは辛いだろうと勝手に思っている,俺は.でも,いい曇らせ→救いだ.安心した.
しかし疑問,なぜ先生はミヤコのことが未練(こころのこり)で,そうであって好きだったのだろう.まだわからん.
多分先生とかなり距離が近かった一人だから,というのはあると思う.かつ,青春を大事にしようとする気持ちもあった.それを見通してのことかもしれない.
ここでミヤコが安堵したのは,永遠の柵(しがらみ)から永遠の恋の遷移を経て,そして永遠の,自分の思っていた「青春」に四年の歳月をかけて到達できたから?
苦しみから一瞬脱却できたと思えば,すこし感情がぐちゃぐちゃしていても本音は言えると思う.だからそう思いを伝えることができたんだろう.

04/Life goes on.

あかん,良すぎて脳が破壊されている.感想はあるけど書けん.
そういうことだったのか.良い.学生が自己を顧みて,将来を自分で変えることができるようになる,先生の鑑.
先生は天職だし,ミヤコは軍需企業,神みたいな組み合わせ.やっぱりSRTとの出会いを忘れられなくて,恩返ししたかったのか.
「三人」ともが外で集まっている姿を想像したら,あまりにもデカいエモ過ぎた.好き.
大人と子供をつないでいた珈琲はまた次世代へとつなぐ.俺が勝手に望んでいた将来の家族展開,好きだこれ.
良作に出会えてよかった.つなぎがうますぎる.好きが詰まっている,読んでいて楽しい.泣けます.
Life goes on.の展開だけを詰め合わせた日常を読んでみたいな.

そうして私達は、並んで歩いていく。

また物理本を買える機会があれば買いたい.頭を空っぽにして二週目.

*1:癖で生徒ではなく学生と言っています.

*2:学校でやった胡桃割りのやつも胡桃を象徴にしていた

*3:けいしちょうでは被るので自分はけいしながと読んでいる.現場でもそのようだ.

*4:メモ:ここからまた日をまたいで読んで書いているし書き方も変わっている.

*5:そんな国語の試験みたいな読み方しなくても

*6:めっちゃ個人的な解釈

*7:クソどうでもいい話すぎた.

*8:ここら辺になるとめっちゃミヤコミヤコって書いてた.

*9:テキトウなことを言ってる